強敵と書いて、ともと読む

ミスター味っ子2、三組とも勝ち抜けを認める室長。
味皇が倒れてから、彼の専横が始まったと登場人物たちは語るし、味将軍にいたっては、彼が味将軍グループに対するマイナスイメージを強調したと語るのだが、

いるよな、自身の理念を実行することしか頭に無くて、それを他人にわかってもらうアピール活動がヘタなタイプって。

結論というか、室長の狙いに関しては私個人の推測で言うなら、

味皇がいなくなったあとの味皇料理会という組織を生き残らせることだと思う。

というのも、味皇料理会という組織の弱点は、アニメ版において、すでに描かれていたわけで、アニメ版ミスター味っ子のクライマックスでは、姿をくらましていた味皇が記憶を失って帰ってくるという展開になっていて、味皇料理会の主任達をはじめ、様々な料理人が彼の記憶を取り戻そうとして、料理を作り、結局、記憶を取り戻せずに去っていくという光景が繰りかえし描かれ、料理が下手なみつ子がしげる(って、声がみさえの中の人かよ(汗))に玉子焼きを作ったのをみて、大事なことに気がついた陽一が、カツ丼を作って、味皇のために精魂込めて、カツ丼を作り、味皇の記憶を取り戻させることで幕を閉じる。

しかし、すでにどっかで語られているかもしれない話だが、今にして思えば、この事件は起こるべくして起こった事件ではないかと思えてしまう。
というのも、味皇料理会は味皇村田源次郎という人物を中心にして、構成された集団だと思うし、実際、アニメ版では味皇の記憶を取り戻せなかったことで作中に出ていた主だった人々が去っていくわけで、味皇料理会の主任たちもさっていく。

これって組織としては大打撃だよね?

けどまあ、味皇という人物によって成り立っていた集団だから、味皇という人物に何かあれば、その集団が解体されてしまうというのは無理も無い話だから、味皇が記憶を失うという形でなくても、
それが来ることは避けられないことだと思う。

味っ子2でも味皇が危篤状態に陥り、丸井は追い出され、肉料理の天才・小西和也は今の味皇料理会に未練は無いとやめてしまった(この人に関しては、ムリも無い話だが)。

状況はアニメ版クライマックスとほぼ同じである。


味皇が危篤状態になってしまった原因移管しても、それに室長が一枚かんでいるという可能性すら浮上してきた。

さらには素材の魔術師・中江兵太をコンビニで売ってた材料で下した葛葉を味皇にすえ、丸井を追い出すなど、強引な手法で味皇料理会を乗っ取るかのような言動を見せたりもしている。
しかも、こんどの味皇グランプリでは、

参加資格に制限なし

優勝者には希望料理部の新設と料理主任の地位

ということまで行っている。

ところが、陽一の「味皇になりにここに来た」という発言で現味皇を倒せば、味皇になる目も出てきてしまう。
しかも、陽一や虎峰を倒すために、

出張料理人の久島(しかも、久島が出てきたエピソードで、彼にほれていたお手伝いさんが彼を追いかけて、ゴールインしていたから、さらに驚きだ)や大念寺をぶつけることまでしている。
しかし、その大戦で繰り広げられた料理対決の結果、全員勝ち残るという結果になっている。
これ自体は、ミスター味っ子でも作中二度目の味皇GPや、一度目の味皇GPでの同時優勝もあるから、驚くことではないかもしれない。
それを決定したのが、室長だというから、驚くわけだが。下仲・アレックスのコンビを意図的に落とした部下に対して、それを叱責するようなことまでやっていたりする。

ただ、彼は、これまでずっと味皇の陰に隠れて、裏方に徹していた人物であり、味皇グループを活かすために手段を選ばずにそれを行ってきた人物のようですから、味皇が健在な時期も味皇料理会のためにこういったことは行ってきたと思いますが、そういう立場の人間だからこそ、見えることってあると思うのですよね、

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1355072.html

アニメ版味っ子の最終回の最終回についての質問に答えた回答の中で、

>冷静に考えると誰一人心を込めて料理を作っていなかったという悲しい物語です。

という指摘があるわけですが、実のところ、この手のカリスマによって、形成された集団が陥りやすい弊害の典型なのですよね、これって。

カリスマによって、形成された集団で、その組織を構成する一人一人は優秀な人物であるはずなのだが、結果として、彼らは組織を活性化するどころか、逆に蝕んでいるということは珍しくは無いわけだが、その能力が、その組織で自分達がそこで居場所を維持するということにその力をフルに活用することが多いことや、カリスマが強烈過ぎて、なまじっかなことでは、意見することができなくなってしまい(下手なことをするとカリスマの逆鱗にふれて追い出されかねないから、というのもあるが)、イエスマン集団になってしまうこともありますし。

おまけに、味皇は後継者がいない。こういった手段では、後継者になりうる人間が育たないというのはよくあることだったりする。

味皇という人物がいたことで、成立していた集団が味皇になにかあることで、崩壊してしまうということは明白であり、味皇配下の主任達がいなくなるってことは、組織としても大打撃になるわけですからね。

葛葉という人物を味皇にすえたり、味皇gpで破格の条件を出したりというのも、味皇なきあとの味皇料理会を支えるための優秀な料理人集めの一環といえば、納得できる部分もあると思いますし、
丸井や小西といった味皇派の主任達たちが、かつての味皇料理会を取り戻そうとする動きも、室長からすれば、時計の針を逆行させるような行いに見えるでしょうし、それを排除するためなら、手段を選ばないということでしょうけど、ただ、彼の行動自体も、彼が裏方で行動してきたことを踏まえると、彼自身もまた、自分の居場所を守るためにそういうことを行っているだけに過ぎないという危険性も存在するわけですが。

これらの危険性は、アニメ版ミスター味っ子ですでに指摘されていたことであり、2の展開って、それに対して、作者なりに取り組んでいることではないか、と思うのですよね。

大念寺や久島といった筋肉キャラも単なるマッチョキャラではないわけですが彼らも、アニメ版に出てきた超人的な料理人へのアプローチといえなくもないですし。

なにしろ、アニメでは味将軍は味皇の弟だったのが、2では、血を分けた兄弟は室長となっていたし、アニメでは、山岡みつこという幼馴染がいたけど、2では八重という女性と一緒になって、高校生の息子までいる。

日の出食堂を破壊するという派手な登場の仕方をした下仲主任の娘・アンヌも父親にかまってもらえないことのさびしさがあの今の彼女を形成しているわけで、カマって欲しいがために、わざと悪いことをしている不良とベクトルが変わらないわけですが、これだって、こういった描写に相当すると思うのですよね。

寺沢作品にでてくる悪役って、完全無欠の極悪人というケースはむしろまれで、主人公にたちはだかり、成長させるための存在であるので、排除すべき悪い存在というような書き方はされていない。

去年、完結した修理もん研究室でも、権威といわれる学者が主人公の研究を横取りしようとしたかと思いきや、なまけものの主人公のケツをひっぱたくためにやっていたということが最後に明らかになる。

無印味っ子の味将軍グループや喰いタンの仕事屋グループが作中で出なくなっていったのも、作中での彼らの描かれ方を見ていると、好敵手ではなく、倒すべき敵というニュアンスの方が大きかったという理由もあるのではないか、と思えるくらいだ。

自分の存在意義を守るためという本末転倒な事態に陥ってる可能性も高いけど、味皇料理会という組織を存続させるという一点ではブレていないのではないでしょうかね。
陽一をつぶそうとしたのも、時計の針を逆行させるとしか思えない味皇派に対して、組織を守るため(それがいいかどうかは別)の自衛手段とも取れるわけだし、三組とも通過させたのは、組織を守るためには優秀な料理人が不可欠だから、その実力を認めるだけの技量があるということか。その前に、下仲・アレックスを意図的に失格にしたというようなことを公衆の面前でやっていて、今度はハイレベルな料理合戦になったエビチリ対決で同じようなことをすれば、組織のイメージダウンになるということがわかっているから、勝ち抜けおよび、大念寺・久島コンビが勝ち進むことを認めたということでしょうが。
アニメ版のクライマックスは、言及したように、味皇料理会という組織のもろさに言及していたわけで、味皇が最期の相手であっても原作ではそこまで踏み込んでいなかったと思う。
まあ、アニメ版はいろいろな意味で強烈だったわけだし、まったく意識しない方が難しいといえば、それまでだけどさ(笑) 原作者として、自身が踏み込まなかったところに、アニメ版が踏み込んだ、というのは結構、衝撃的なものがあると思うし、自分だったら、どういう結論を出すのか、という部分ってあるでしょうからねえ。
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by kwanp | 2011-02-22 23:39 | コミックス
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