ある意味・・・

今週発売のハヤテ6巻に収録されているマラソン大会編は、評判は悪いわけだが、単に話をはしょっただけではなく、ハヤテが個人的な欲望を優先させたということもあるだろうが、畑センセとしては、たぶん、初期の話のつもりで描いたのかもしれないが、問題は、それ以前に、現実の時間で一年経っているということと、1年という時間は、けっして、受け手にとっては短いものではなく、普通のアニメでは(ごく一部の人気作品除く)、ひとつのシリーズが終わっているくらいの長さだと言うことだ。

おまけに、序盤は、親に借金を押し付けられ、しかも命が危ないところを金持ちのお嬢様に助けられ、さらにいうなら、そのお嬢様の危機に「君がぼくを守るよ」と宣言し、実際、そのお嬢様の危機に、助けに駆けつけるなど、お嬢にとって、白馬の騎士的なイメージを植え付けるには、申し分ない活躍をしているわけだ。
だからこそ、第二部以降の展開でも、桂妹が出張り、ハヤテが他の女性の間をフラフラしていても、「肝心なときには、お嬢を助けるだろう」という安心感があったのも、事実だ。

つまり、ハヤテはお嬢のためなら、何があっても、彼女のために命を賭して、彼女を守るだろう、という信頼みたいなものが、1年の間に生まれていたといっても大げさではないだろう。

ところが目先の賞金(しかも、後日500万と判明)に目がくらんで、そっちを優先、しかも、敵として立ちはだかった桂妹んを弱点を突いて、トンズラこいて、後日、誤りもせずに、協力を求めに来るわけだが、1年間、お嬢のための白馬の騎士というイメージを散々、強調しておいて、この行動で、まあ、ハヤテも弱い部分はあるんだといえなくもないが、いかんせん、このマンガで、このネタをやるには、時期が悪すぎたのだ。
というのも、この作品でもネタにされた、「納得のいかない最終回」、「フリーダムと名の付くものはやりたい放題」なあの作品が終わったばかりであり、結局、書き手の寵愛を受けていたキャラたちは、平和になりかけていた世界をぶち壊し、どん底から這い上がってきた少年を叩きのめして、更にどん底に叩き落したという悪のような最終回であり、三年近く描いてきて、たいした成長をしていない主人公ということを暗に証明したばかりであり、ひとつのアニメがはじまって終わるには十分な時間をかけて、描いた姿は見せかけでした、ウソでしたという描き方につながりかねないマラソン大会編の時期は、そのアニメが終わったばかりであり、ハヤテのあの姿はそれを彷彿とさせたのではないか? 

おまけに、第一部のラストは、「暫定」とはいえ、最終回として、用意していたネタであり、打ち切りとはいえ、ある程度の成長がそこに描かれているわけだ。

畑センセは、常々、「最終回は決まっている」といっているように、今書いている部分が、どのあたりにあるのかを理解しているが、読み手はそうではないし、1年という時間は、最近のアニメ、ゲームに慣れきった人間にとっては、そう短くはない時間であるのだ。
たとえ、話の進むスピードが、他のマンガに比べて、遅くとも、いや、それだからこそ、それまで培ってきた成長も、スピードの遅さゆえに貴重なのだ。
しかも、まあ、マラソン大会の時点で、すでに、話のスピードの遅さは、見ている人間には定着しているわけだから、一時の感情とはいえ、1年間培ってきた成長を、棒に振るようなことをしているのである。

つまり、書き手にとっては、序の口の段階でも、読み手にとってはそう捉える人は少なくないし、結構進んできたように見えるのだ。
ましてや、あの時期で、一年ちょっととはいえ、いろいろあって、成長していると思うだろうし、ましてや、優勝できなければ、クビという、お嬢の成長を促すかのようなイベントがあるのだから、尚更だろう。
まあ、彼もまた、欲望に弱い、一人の人間ということを主張するのは悪くはないし、やりようによっては、キャラに親近感を増すいい機会なのだが、マラソン大会では、ハヤテとお嬢の成長が期待される(まあ、ついでにいうと、桂妹とのぶつかり合いも予想されたが、これだって、桂妹の、ハヤテへの好感度が上がるような描き方を期待してただろうし)のであって、ハヤテの弱さだけを見たいというのではないのだ。
弱さを描くのがいけない、とは言わないが、ココで期待されているのは、恩と借金返済をはかりにかけて、恩が勝るのを期待していた人が多いだろうし、勝てば、なんだって言いというのであれば、どこぞの金満球団と同じなのだ。

とはいえ、ハヤテが優勝できないということはともかく、1年間培ってきた信頼に傷がついたのは確かである。それ自体がいけないとは言わないが、それを取り戻すためには、信頼を得る以上に、時間がかかるが、その後の虎のあな編でも、離れ離れの2人を演出しておきながら、あっさりと合流するし、おまけに、そのアオリで、それまで、登場以来、不遇な目にあい続けた西沢が、ようやくいい目を見れるかという期待とは裏腹に、不幸な目にあったわけで、これは、バレンタインを二本書いておきながら、「三週続けて」にも通じる部分があるのだが、小さな積み重ねで、期待を煽っておいて、肝心なところで答えないという点では、不評だった回に、共通する要素だったりする。
ベタな書き方を避けて、斬新なものを描きたいという気持ちも無理はないとは思うが、読者の願望というのは、そのベタな部分、つまり、過去のパターンの積み重ねによって、成り立っているものであり、少しでも定番パターンをにおわせる描き方をした時点で、その期待を何らかの形で満たさねばならないのだが、それをやっておらず、しかも、そういう回に限って、言い訳だけはしっかりとやっている。
こう言うところがポイントを落としているんだろうなあ・・・。

ついでにいうなら、マラソン大会では、読んだ人間にある種の不安を与えてしまう側面があったわけだ。というのも、第二部で登場して以降、ヒロイン張りの出番を獲得していた桂妹だが、そんな彼女でさえ、ハヤテの都合の前には、弱点を徹底的に疲れて、しかも、いいように利用されている(その利用の仕方がうまいから、厄介だったりするのだが)うえに、第1部ラストでは、メインをはった伊澄が、第二部以降出番が全くといっていいほどない。キャラの使い捨てが激しい、そういうイメージを抱かせて、それを喜ぶ人間はそういないだろう。
2人とも、人気の高いキャラであり、そんな彼女たちでさえ、使い捨てっぽくかかれるのであり、人気のないキャラは、どれだけ、ぞんざいに扱われるかは分からない。
ましてや、人気が高い今でもそうなのだから、桂妹や伊澄の人気がなくなったり、他の要素で受けるようになったとすれば、作品の都合次第で、容易に切り捨てられるのではないか?
西沢のときも、人気キャラですし、ハヤテとお嬢を合流させることで、そのあおりを食らったわけですから。
ましてや、それを地で行ったアニメが少し前に終わっているわけで、その不安がありえないとは、誰も言い切れないわけですしね・・・・・・。
不幸続きの彼女が、「たまには、いい目が見れるか?」という期待が大きかったでしょうが、それで肩透かしを食らったわけですから、その分、失望感が大きかったでしょうし。
だから、連載終了までには、一回だけでも、いい目を見させないといけないですし、いい目を見ないまま退場ということになったら、キャラの人気は熱烈なものになるでしょうが、作り手への反感は、その反動ででかくなるので、諸刃の剣ですしね。


あとは、マラソン大会、とらのあな編ともに、話をまとめるのを急いだ形になるわけですが、このあたりは、ハヤテのマイナス面が明らかになるのを避けようとした狙いもあるのかもしれませんが、いかんせん、一年かけて、築いたものに傷をつけたわけですし、話のスピードが遅いというイメージは、既に定着しているわけですから、急激に話のスピードをあげようとする、それも、物語の重要な部分(主人公とヒロイン(?)の成長に関わることですから、そう見てもいいでしょう)でやるのは、描く側がどうであれ、手抜きととられかねない危険性が、隣り合わせに存在しますから・・・・・。
この場合、話が納得のいかなかったものであればあるほど、書き手が、事情を説明するのは、かえって、マイナスになりますし。

お約束というのは、過去のパターンの積み重ねであり、それを避けるということは、自分の力量だけで、やらないといけないわけですが、一方で、パロディネタという風に、過去のデータを多用しているわけですから、お約束的な流れになるのを避けているのが、良くも悪くも目立ってしまう。
パロディという過去のデータを使っているということは、お約束という過去のデータの積み重ねで、蓄積されたことで、皆に知られており、それによって、より多くの人間が納得できるであろう展開を、やるだろうと期待させる一因にもなりますから。だからこそ、それをやらないで、しかも、外した回というのは、反動で、評判が悪くなる。パロディネタを駆使しているということは、定番ネタをを知り尽くしていると思われてもおかしくはないし、期待に応えるべき部分で、応えてくれると思われやすいわけですから。ついでに外しても、面白いものが作れて、当然と思われたりもするわけで、自分で、ハードルを高くしていっているところも、あると思いますし。
まあ、そういうのを徹底してさけてるならともかく、「コミックス買ってください」と出るごとに言っているわけですから、コミックスが売れるには、ベタとか、お約束な展開への期待というのも、もっと応える必要があるのですけどね・・・。
そう考えると、マラソン大会とか、虎のあなのエピソードは、ハヤテという作品の弱点が如実に現れているのかもしれませんね・・・・。
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by kwanp | 2006-03-14 12:56 | コミックス
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