しかしまあ・・・

昨日も書いたが、ルルーシュは、どんどん妹優先で、物事を進めて、設定が似たようなものが多い、黒の契約者と対象的ではあるなあ・・。

まあ、黒も、妹がいたころは、ルルーシュに近い感じだったのかもしれないけど。なにしろ、妹が契約者になって、それを受け入れるために(これ自体、十分に凄いことだと思うが)、殺し屋になっていたわけだし。
妹のために、どんなこともいとわないという時点で、妹のほうは、兄のそんな姿を見せられて、それが自分を受け入れるためとか言われたら、妹のほうからすれば、自分が、契約者になってしまった事実を、別の形で、しかも眼前で、ずっと突きつけられるのだから、たまったものではない。しかも、それが、兄の思いやりから来るのだから、なおさら、苦しんでしまうと思うのですよね。そういう意味では、この時点での黒もルルーシュも、差はなくて、ルルーシュに近い部分はあったと思うし。
作中では、結局、妹や自分の幸せよりも、戦い続けることを選んだわけですが、作中でああなったのはやはり、妹を失ってからの五年間だと思うからなあ。言ってみれば、妹を失っていることに、薄々気付きながらも、それでも一縷の希望に縋って、探し続けていた。その間に、自分や妹以外の人間のことも考えれるようになっていったということか。

ルルーシュの場合は、妹がいて、しかも、目が見えない、足が不自由ということで、人の手を借りないと生きていくのは難しい。これで、目と脚がそうでなければ、また、話は変わっていたかもしれない。なにしろ、ルルーシュは頭がいいけど、すぐに強力で、効果的な手段に頼り切って、それで、墓穴を掘るすっとこどっこいなところがあるので、「私がしっかりとしないと」とお互いに、足りない部分を補い合うという生き方が出来たかもしれないし。まあ、そういう部分は、今のナナリーにもあったと思うし、ルルーシュが自分を守ってくれた大事な思い出を守りたいからこそ、その思いに答えようとして、自分の意思で、エリア11の総督になって、特区日本を、もう一度、作ろうと思ったのだろうから。

この二人の差は、おそらくは、自分に残されたものがあったかどうかだろう。
母親が死んでからは、日本に人質に、そして、日本侵攻、そのあと、アシュフォード家に保護されるというように、大人の都合によって、翻弄されるという状況にありながらも、妹のナナリー等が、わずかに、壊れかけている日常の最後の砦ともいえる部分だと思うからなあ。しかも、自分が手を貸さないと、妹は、一人で生きるのは難しいわけだし。「守らないと」と思いたくなるのは、当然だろう。そして、母親の死から、それ以降に起きた出来事は、日本へ送られたり、ブリタニアの日本侵略と、状況が不変のものではないということを思い知らされたわけですからね。
だから、今が平和であっても、いやだからこそ、その平和を失う恐ろしさを考えれば、それを守るために、利用できるものは可能な限り、利用しようという考えになっていったのだと思うのだが。
ただ、そのために、なりふりかまわないというか、微塵も拘らない、拘る余裕を持とうとはしなかったのが、ルルーシュとナナリーの考え方のズレを生み出す一因だったのだと思うのだが。

ナナリーの意思を尊重しようというのも、ナナリーの人格を大事にはしていると思うのだが、やはり、その考え肩の根底にあるのは、自分たちを日本においやり、自分たちがいるのも構わずに、日本を攻撃したブリタニア皇帝や、その皇帝に、自分を売り渡し、自分の出世の足がかりにしたスザクへの反発もあると思うし、ルルーシュ自身も、利用できるものは利用するという考えの持ち主なので、最後の一線みたいなものでもあるのだけど、かなり、ハードルの低い最後の一線でもあるけどなあ・・・。

こういった関係は、決して、悪いことではないが、こういう関係に依存しているのは、守られる側や、その思いを寄せられている側だけではないだろうということで、むしろ、守っている側も、それに依存しやすいところはあるわけだ。
だから、それを失ったときには、すべてを滅ぼしてやるとかいう考えに走りかねない、危険な可能性が残っているわけで、それ以外、目に入らないというのは、危ういところがあると思うのだ。
ギアス第一期のラストの選択や、ナナリーの意思を尊重したり、生徒会の面々の記憶がいじられていることに怒っていたが、ギアスの力でルルーシュがやってきたことを考えれば、いかれる筋合いではないし。ましてや、スザクは、自分を売り飛ばしたことで、感情は変化しているわけだし(生きろというギアスと、第一期ラストの惨劇と、彼の目的が、からみあって、ああしたのだと思うけど)自分とナナリー以外の意思や、身近な人間以外は、道具扱いをする傾向の強い人間が、100万の日本人に責任を持ちきれるとは思えないのだが。

ナナリーがいるということが、わずかに、残った大事なものだから、それを守ろうとするために、他は視界にいれずに、なりふり構わずに、突っ走ってしまうから、ああなってしまったのかもしれませんが。

一方、黒は、かつての親しい人たちは、皆、どこかへ行ってしまったわけで、自分、一人が取り残されている。そして、その後の五年間を、組織に身をおきつつも、一人で過ごしてきたわけだ。まあ、その間に、関わった人たちとの絆をしっかりと育てながら、ではあるが。

そういう意味では、アスカで連載されていた外伝的なコミックス版の父親が契約者になり、しかも、娘がそれを追いかけていくことから始まった一件などは、黒にとっても、他人事ではなかったろうし。

何しろ、どうして、人は契約者になるのか、そうなる法則がわからないのだし、戻る手立てもない。ある意味では、ブリタニアの侵略よりも恐ろしいシロモノではないだおるか。それによって、引き起こされる悲劇も万人に平等に降りかかるシロモノといってもいい出来事で、あの作品の世界では、大部分の人間が、その恐怖がすぐ身近に存在していたのを知らずに、また、同じ明日が来ることを信じて疑わずに、日々をすごしているのだから、そういう意味では、契約者を恐れる人たちの気持ちも無理からぬものだと思うし、それ知ってもなお、契約者の存在を受け入れる第三の道を選ぶということはすばらしいことなのだと思う。道は平坦ではないにしろ。
ギアスも暴走のリスクはあるものの、自分の意思で、それを得るかどうか、決めれますから。
まあ、得ると選択するしかない状況で、選ばされているので、実質選択肢はないのかもしれませんが。

何しろ、作中でも、1・2話では、他人の記憶を移されたドールがでてきて、黒は、彼女と行動をともにしたり、3・4話では家族が契約者になろうとしたのを、なんとか、食い止めようとする父親と、その努力も空しく、ドールになってしまった少女とのかかわりは、黒にとっては、単なる任務で片付けるのには重すぎたと思いますし。
5・6話では、かつての仲間が出てきて、自分が昔に戻るようなら、殺してくれと頼まれたりしましたし、11・12話で、分かり合ったニックの件も大きいでしょうし。
13・4話の銀を迎えにきた、ピアノの先生の気持ちは、黒には、いなくなった家族を探す人間の気持ちは、わかりますし、でも、その気持ちだけを一方的に押し付けてはいけない、ということを、五年の年月の間に理解していたから、彼女には、「自分で、どうするか、選べ」と促していたのかもしれませんね。
17・8話で、ドールに恋した青年とか、19・20話のかつての恋人と再会したホァンの一件とか、他人事で済ませられない出来事に関わってきたわけで、妹のことだけを考えるわけには行かなくなったというのもあるんだろうけど、やはり、そういう資質も、最初からあったのかもなあ。

多分、このあたりが、黒とルルーシュの差が大きく分かれた理由ではないか、と思うのだが。

そういう意味では、黒の場合は、妹を失ったことで、いろいろなことに目を向けるきっかけが出来て、それから、関わった多くの人から、ひょっとしたら、自分がたどったかもしれない、その姿を見てきたわけで、それらのつみかさねが、東京を犠牲にしない選択を選び、戦い続けることを選んだのだと思うのだが。
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by kwanp | 2008-05-27 09:54 | アニメ
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