思うに、だ

リリフ族とヤック族、カイルン遺跡への道すがら、森の中で、彼らを待ち受けていたのは、葉っぱ人間の二つの種族であったわけで、戦いを好まないヤック族は、アルト達とのかかわりを避けるかのように、追い払い、それでいて、自分たちが悪く言われないがために、言い訳がましい態度を見せて、ミルキィを怒らせたわけだが、彼女が彼らの言い分にいい感情を持たないのは、当然といえば当然で、今週の感想で言ったように、リリフ族の価値観=世界の価値観であるわけで、アルトもミルキィも、リリフ族的な価値観からはじき出されたものであるわけで、アルトは、母親に父親の死を告げに行くということを理由にして、ミルキィも、死神になるという事を理由にして、かつて、自分がいたところから逃げ出したいだけではないだろうか?

死神になりたいと思う危険な夢も、本気で自分の望むものになりたいと考えるなら、色々とやっていくうちに、おぼろげながらでも、道が見えてくることだってあるのだが、ミルキィの場合は、生きていくのに、精一杯といった感じであり、「~~だから」という理由で犯罪行為を繰り返す日々の繰り返しをしているだけである。
アルトは、ただ、戦いを避けるというリリフ族の価値観に近いものがあるわけだが、ミルキィが彼らに腹が立つのは、彼らと似たような価値観の持ち主であった、村の人に迫害され、そこから逃げ出してきたという過去があるからで、この価値観は、世界に蔓延しているものだから、どこへ行っても付いて回る。ミルキィが放浪していく先々で、いい思い出がなかったのも、どこへ行っても、自分を今のような状況に追い込んだものたちと同じやつらがでかい顔をして、闊歩しているからで、そういう連中と仲良くするという心境に至るのに、心の準備が出来上がるのには、長い時間が必要な場合が殆どで、攻撃的な態度で、己を守るという極端な態度につながりやすいわけですからね。

つまり、彼女のリリフ族への怒りは、筋の通ったものではなく、単なる嫌悪感でしかない。

だが、ヤック族に近い心情かと思えば、そうではなく、おそらくは、ヤック族はカイルン遺跡を占拠していて、風のアトモスツールにアルト達を近づけない(場合によっては、ヤック族に風のアトモスツールが力を与えている可能性があるだろうし)ばかりか、ミルキィと大差の無い理屈で、彼女たちを、理由になっていない理由で、攻撃するばかりか、殺そうとまでするのではないだろうか?

アルトもミルキィも、ヤック族やリリフ族の言っていることは彼らのいってることをかがみ写しにしたような連中であるわけで、PUNISHERの作品世界をカリカチュアしたようなものだと思う。

場合によっては、これが風のアトモスツールが見せている幻影である可能性もありうるのだが。

前にもいったが、風のアトモスツールはナノマシン、使用者のイメージを無限に具現化するアイテムである可能性もあるわけで、ザイナーハやシャフォーの翼などを見ても、その翼はシャフォーは聖衣みたいなものであるのに、ザイナーハは動物めいたものであるかのように、同じ八戦聖でも、まちまちであるのは、おそらくは、個々のイメージの差によるものではないだろうか? シャフォーの場合は、体自体がアトモスツール化していそうに思えてくるが・・・。

まあ、宙の魔法を唯一扱えるシャフォーに、アルトは死神との対峙、ミルキィは過去と向き合うことを見せ付けられ、その結果、二人で一緒に差さえあって旅をするという結論に、ひとまず落ち着いた。しかし、二人とも、二人で一緒に旅をするということで、そうなりたくは無い光景を避けているだけに過ぎないわけで、過去を克服したわけではない。

そして、こいつは推測だが、風のアトモスツールを扱う資格とい言うのは、自分が何者であるかということを見失わない心の持ち主であることではないだろうか?

よく物語に出てくる変装の名人が変装のし過ぎで、己の素顔を忘れるということがあるが、それと同じで、イマジネーションによる変化を重ねすぎて、己が何者であるかを忘れてしまうのは、それだけに留まらないし、変化の仕方によっては、理性や自我を忘れた、バケモノとして、暴走してしまう危険性だってあるわけだし。一人や二人だけではなく、それが多数いたとしたら、どういう結果になるのか、いうまでもないだろう。
変化を使いこなすには、己をしっかりと持たないといけないわけだが、それはいい部分だけではなく、悪い部分も含めて、それらすべてが自分という存在だということっを認めさせるものであるわけで、それらを見せ付けられてなお、それらを己のいちぶっぶんであり、受け入れることが出来るというのは、中々に難しいわけで。

つまり、ヤック族やリリフ族はアルト達をかがみ写しにしたような存在であり(戦いを嫌うリリフ族の姿勢は、いじめられてもなお、大人しく、それを受け流そうとするあるとの姿勢に通じるものがある)、それらを受け入れて、風のアトモスツールを手に入れる試練なのかもしれないが(おそらくはエルは、兄と一緒に踏み入ったときに、それをクリアしたのであろう)。

生も死も、わけ隔てなく、もたらされるものであるわけで、逆にいえば、すべての命に対して、これらを公平にもたらさないといけないことになるのではないだろうか、勇者も死神も。

そう考えると、自分を追い込んだものたちへの怒りや憎しみで、死神になることを誓っているミルキィは、死神になる意欲だけならともかく、その感情は、死神になるのには、ふさわしい考え方とはいえない。

一方、アルトはというと、これも、おそらくは、父親の言うことに従って、狩をしているようで、野生の一部始終に手を出すなという言葉を、見てみぬ振りをしろというふうに解釈していたりするわけで、狩りをして生きるという意味を完全に理解していないし、生きていくうえで、狩をしなくても、命のやり取りからは避けることは敵わないわけで。
これまた、生きるということの意味を理解せずに、強力な力を持ち、それで命を狩っている。

二人とも、強気、弱気の違いはあれども、世界に対して、深く関わろうとはしない、知ろうともしないわけで、おそらくは、壮剣の持ち主や、鎌の持ち主として、このまま行けば、その資格を満たす人間になるのは難しいのでしょうし。
風のアトモスツールや、ヤック族、リリフ族の正体が当たっていれば、成長するための最初のステップになるのかもしれないが・・・・。

それに、どうして、考古学者という存在がいるのに、ヤック族やリリフ族のような存在に関して、何も言及しないかとか、知らないかのような態度をとっているのかというのにも、ある程度の説明がつくのだが(博士が、墓泥棒相手に脅すような態度を取っているのも、相手の恐怖心をあおるやり方というのは、この手の場所では有効な手段でもあるし)。
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by kwanp | 2008-09-13 12:46 | コミックス
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